日本鹿児島のトシドン

子供達を健やかに育む鹿児島・甑島の来訪神「トシドン」

2018年11月、ユネスコの政府間委員会は日本の「来訪神 仮面・仮装の神々」を無形文化遺産に登録することを決定した。10件の行事の中で、2009年に一足早く登録されていたのが「甑島のトシドン」である。

ユネスコ無形文化遺産に先駆けて登録

「オーイ、オーイ、〇〇はおるか!来て障子を開けー」
12月31日(おおみそか)の夜、長い鼻と鋭い(するどい③)牙(きば)を持つ来訪神が子供達のいる家々を訪れる(おとずれる)。鹿児島の甑島に伝わる年中行事「トシドン」である。

1977年に国の重要無形民俗(みんぞく)文化財(ぶんかざい③)に指定された「甑島のトシドン」は、2009年ユネスコの無形文化遺産にも登録されていた。それが2018年11月に「男鹿(おが)のナマハゲ」など他の9件の行事と合わせ、「来訪神 仮面・仮装の神々」として拡大登録されたことで再び注目されている。

甑島は薩摩川内市に属し、九州本土から西に約26キロの東シナ海上に浮かぶ3つの島で形成される。北から上甑島、中甑島、下甑島となり、トシドンは下甑で受け継がれてきた。「トシ」は正月に家々を訪れる「年神(としかみ)」、「ドン」は「西郷どん」で知られるように鹿児島弁の「〜さん」を表し、「年神さん」という意味である。その起源や歴史は定かではない。

子供の良い部分は褒め、悪い部分は諭す(さとす)
トシドンは首のない馬に乗って、天空(てんくう)から高い山や大きな岩(いわ)の上などに降り立っと伝わる。大晦日の夜になると、村の青年(せいねん)たちが子供には絶対に見つからないようにトシドンの扮装(ふんそう)をし、「つきし」と呼ばれる従者(じゅうしゃ)を連れて3歳から8歳くらいまでの子供がいる家々を訪れる。

風貌(ふうぼう⓪)に集落によって異なるが、ジェロの皮(かわ)やソテツの葉、紙などで作った鬼のような仮面を付け、身体(からだ)にはわらみのやマントを纏う(まとう)。そして、「オーイ、〇〇はおるか!来て障子を開けー」と大声を上げて家の中で入っていく。

今回取材(しゅざい)した下甑島南部の手打麓(てうちふもと)の集落では、小さな電灯(でんとう)を1つだけつけ、薄暗い(うすぐらい)部屋で儀式を進めるのがむかしからの伝統。トシドンは地元の人々にとって崇拝(すうはい)すべき存在なので、子供達は正座(しょうざ)で迎え、礼儀正しく話すように心掛ける(こころがける)という。

天上界から見持っていたトシドンは、子供たちに一年間の行いについて尋ね(尋ねる③)、悪い部分を注意し、良い部分のは褒めてやる。さらに、歌や踊りを披露させたり、新年の誓い(ちかい②)を立てさせたりする。そして最後に、「年餅」と呼ばれる褒美の餅を、よつんバイになった子供の背中に授ける(さずける③)。怖く泣いてしまう子供も多いが、一部始終(いちぶしじゅう)のやりとりを見ていると、しっかりと良い子に育ってほしいという優しさのようなものが感じられた。

受け継がれていくトシドン

毎年トシドンに叱られたり、褒められたりした子供達が、成長するとトシドンの「つきし」として家々を回るようになる。そして、行事の流れ、やり取りなどを覚えていき、大人になってからは自分がトシドンになり、後世(こうせい)へ受け継いでいく。

下甑島には6つのトシドン保存会が存在し、かつては各集落で一夜(ひとよ)に20軒(けん)近くを回っていたという。しかし、島の少子化に伴い(ともない)、2018年末にトシドンが行われたのは3つの集落だけで、手打麓(てうちふもと)トシドン保存会が訪れたのも4軒のみ。島の子供たちや健やかに育んできた伝統ある行事だけに、しっかり受け継がれていってほしい。

健やか(すこやか②):【形容动词/ナ形容词】1.健壮,健康,健全
育む(はぐくむ③):1.抱,孵(雏);亲鸟把雏鸟抱在自己的翅下培养。2.哺育,养育。3.培育,培养;珍重地看护,并使长大。4.维护,保护。

一足(ひとあし②):1.一步。(1歩。)2.一会儿。(わずかの距離。また、わずかの時間。)
先駆け(さきがけ⓪):1.首先攻入敌阵,打先锋,前驱,先驱。〔先陣。〕2.领先,率先,带头;先驱,前奏,先河。〔まっ先。〕
障子(しょうじ⓪):1.(用木框糊纸的)拉窗,拉门,纸拉门,纸拉窗。

大晦日(おおみそか):1.大晦日,1年的最后一天。(1年の最終の日。12月31日。おおつごもり。)
男鹿(おが)
属する(ぞくする):1.属于,归于,从属于。2.隶属,附属。
本土(ほんど):1.本土,本国。( 本国。おもな国土。離島や属国などに対していう。)2.佛土,佛界。(仏土。浄土。)
海上(かいじょう⓪):1.海上。海洋上。
浮かぶ(うかぶ⓪):1.浮;漂;飘;漂浮;飘浮。2.浮;泛;浮现。3.浮出;露出。4.想起;想出;涌上心头;浮现于脑海。
年神(としかみ):1.守护五谷的神。祈祷五谷丰登的神。 五殻を守るという神。また、五穀の豊年を祈る神。年穀の神。
定か(さだか①):1.清楚;明确,确实。
諭す(さとす⓪②):1.谕,晓谕,说明(道理),使了解,告戒,教导,教诲。
降り立つ(おりたつ⓪):1.走下去,下来站立
従者(じゅうしゃ):1.随从人员,随员。(主人の供をする者。供の者。供人。ずさ。じゅしゃ。)
風貌(ふうぼう⓪):1.风貌,风采。(風采と容貌。すがたかたち。)
集落(しゅうらく):1.群体;菌落;沉降量;住宅区;群;群集;游动菌落
わら‐みの【藁蓑】:〘名〙 藁で作った蓑。
マント①:1.【法】manteau ;斗篷,披风。(袖のないゆったりした外衣。
纏う(まとう):1.缠,裹,穿。(身につける。巻きつけるように着る。)
崇拝(すうはい):1.崇拜。
心掛ける(こころがける):1.留心,注意,记在心里。
尋ねる(たずねる③):1.寻,找,寻找。2.问,打听。3.探求;寻求;探索;查明。
誓い(ちかい)1.誓,誓言,誓词,誓约。(ある事を将来必ず履行しようと他人や自分自身に固く約束すること。)
2.对神佛发誓。(神仏に、ある事をそむくまいと約束すること。)3.许愿。(願。がんかけ。)
一部始終(いちぶしじゅう):1.从头到尾,原原本本,一五一十,全部经过。(成り行きの初めから終わりまで。顛末。一伍一什。)
授ける(さずけ③る):1.教授,传授。2.授予,赋予,赐给。
育つ(そだつ):1.发育,成长,生长。2.长进,成长。3.成长壮大。
叱る(しかる):1.责备,批评。


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